赤穂義士発祥の地、播州赤穂に花岳寺(かがくじ)はあります。正保2年(1645)浅野家によって創建以来、350年以上にわたり、変わらぬ姿のまま法灯を守り続けています。
Webサイト構築を、「サイト設計」「ビジュアルデザイン」「写真撮影」「ライティング」「コーディング」「アクセス解析」「自社メディア」に分けて説明いたします。
従来の告知方法、広告とは別の、新しいWebを活用して、実際の参拝者をどこまで増やすことができるのか、これが目的とされがちであると思います。
ただこれをはじめから決定付けはしませんでした。
寺にまつわることを聞く、寺の行事や参禅、法要に参加する。花岳寺の歴史を文献資料から読み解く、等々。
結局、花岳寺が作られて、現代まで存続され続けてきた事実と、Webという表現媒体をどう融和させてゆくかにポイントを置きました。
なぜなら、一過性のものではなく、持続性に焦点を当てたかったからです。
例えば寺院独特の意思決定形式があり、それは時間のかかるもので、はっきり言って遅い仕組みです。この遅さを安全弁にして、寺院運営を間違いのないものにしてきた、これも知恵であると思います。一方、Webは、1年が従来の10年にも匹敵すると言われ、価値観も雑多で未知の塊です。
こうした中、今回テーマを決めました。
この2本の柱を、程よくあわせ持ちながら、常に新鮮さを保つWebサイトを目指して設計しています。
1)寺院本来の機能を持つWebサイトに関して言えば、禅の普及と考えます。
しかし、すぐにサイト制作者が何かできるわけでもなく、また、住職様はじめ、みなさまにとっても「わからないWeb」であるのが現状です。そこで、「坐禅会」や「仏教セミナー」などの行事に焦点を当てて、紹介するというコンテンツに昇華しました。
2)観光事業に役立つWebサイトについては、毎年12月の赤穂義士祭等の模様を伝えることと、浅野家と赤穂義士との関係を、知られざるエピソードを意図して選び紹介することで、従来のパンフレットやテレビなどにはなかった、あるいは見過ごされがちであった情報を掲載することで独自性を組み立てました。あわせてこのエンターテイメント性を考慮して、トップページの画像の大きさを、やや大きめにしています。
ターゲットユーザーにとって、提供している情報に関心を向けやすくする、理解しやすくする、サイトを操作しやすくするために配慮することがポイントとなります。
独自性を表現するために、出発点は、個性の発見からはじめます。それを典型的なレイアウトによる使いやすさと融合させることで、使いやすさ、迷わないサイトを実現しつつ、「らしさ」も同居できます。
花岳寺様の場合、熟考のすえまとめたイメージが「線香の灰のような灰色」でした。
これがメインで、サブとしては木工質でした。
花岳寺建立依頼、350年以上、一体何が変わっていないのかを検討しました。
赤穂藩主浅野家の菩提寺から始まり、浅野内匠頭長矩の刃傷事件、その後、藩主が変わり江戸の終わりまで。
さらに明治期の激動を経、赤穂大石神社建立に尽力。
第二次大戦後の昭和期の映画の黄金期。平成の現代、パーリ仏典研究第一人者の住職に至るまで。この長い長い時間の底流に常に流れ続けているものが、パーソナルな坐禅そのものの時間ではないかと。
そこでいつも焚かれる線香。時間の積み重ねで出来上がる線香の灰。
実際必ずしも灰を写真に撮影して使うことはありませんでしたが、これを常に意識しつつ進めました。
レイアウトデザインは、経験からの数値とメジャーポータルサイトなどの現状、またターゲットユーザーに最適と思われる数値などを考慮し、サイズを一つずつ選択してゆくことで構成します。
この時点でサイト構造がありますので、どのように全体バランスを取るかが判断の基準となります。サイトの横幅、ヘッダーなどの高さ、フォントの大きさ等々、個別に決定してゆきます。
また、どこに何を配置するかはとても重要なことですが、Webサイト開設後のアクセス解析や実際の結果を検証しながら、常に改善してゆくことも考慮に入れながら、実際のところはややレアな状態のままにしておくことが肝心なことです。
はじめから詳細にレイアウトを決定付けしすぎないことにも配慮が必要といえます。
さて、配置や、寸法をメインに計画する段階がすむと、今度はより具体的な、目に見える演出の工程に入り、やがて完成させました。
赤穂義士祭の頃はトップページの写真を赤穂義士祭に関連するものに変えます。それ以外の普段の日のトップページは、坐禅堂の写真にしています。
花岳寺では、毎週日曜日早朝に坐禅が行われるのですが、それにならい、やはり早朝に撮影しました。撮影者の心のあり様が、写真に影響しますので、坐禅堂が修繕されて以来、何十年と坐禅が続けられていることを念頭に置き、朝の光の静かな動きを感じながら、シャッターを押す時は無心を心がけて撮影しました。
その他の写真(境内の案内や販売物など)は、花岳寺の様子を伝えるために撮影しました。
印刷物とWebでは、望まれる視線が違うように思います。
運用を続けていく中で新たなアイディアも生まれます。
写真も徐々に更新し、常にもっと花岳寺の魅力を伝える姿勢を保つことが大切です。
特に花岳寺ギャラリーは、季節ごとの草花の写真コナーですが、新たな切り口を提供しています。
季節の移り変わりという時間を圧縮して、異なる時空間を同じページで閲覧可能にすることで、今まで見過ごされてきた魅力を、目に見える形に表現し、固形化しています。
全体的なトーンは、明快で落ち着いた口調を心がけています。
今回のサイトコンテンツの基にしたものがあります。それは「花岳寺案内記」というパンフレットです。
この中に書かれている、多くのエピソードの中から、興味深いもの、現地観光ではおそらく説明されにくいもの、見過ごされがちなものなどを選択しました。
「花岳寺案内記」の文体は古く独特で、主語が何であるか分からないことも多く、まずは、正しく読み取ることに苦労しました。
前提の知識が省略されていることや、当時の人々には常識的なことも現代ではそうではなかったり。こういったことを一つ一つ丁寧にひもとき、書き直すことを通して仕上げてゆきました。
例えば、境内案内の「初代を支えた石柱」があります。
これは、花岳寺には大石内蔵助が植えた大きな松が生えていたのですが、この松が大きいもので、四十七士にならって47本の石柱が支えていたそうです。現在は、二代目ですので、これら石柱は、もう用が済み、多くは誰かに引き取られていったようです。いわばその残骸が、門をはいったすぐ脇に、放置されているわけです。
当寺、この石柱を布施した人々は、自分も大石内蔵助が実際植えた松にかかわることができる、言い換えれば伝説の中に入り込むことができると、とても喜び勇んだはずです。こういった歴史の現場にあり、今もあり続けているエピソードが花岳寺には多くあります。
ごくその一部をピックアップという形になりました。
最後にトータルチェックを花岳寺の皆様にしていただいたことは言うまでもありません。
Web標準コーディングとして、今回採用したタイプは、HTML 4.01 Transitionalでした。
このルールにのっとって全ページのコーディングを行いました。
他の会社のスクリプト以外は、「Passed」を確認しています。
コーディングを標準品質にすることのメリットは、管理費削減、SEO効果、アクセシビリティへの対応、検索エンジンからの評価が高い、広告費圧縮の重要な要素になりえる、表示速度高速化のため機会損失防止となる、などがあります。また品質チェックは、W3Cが提供するツールを利用するために客観性が保障されます。
詳しくは、「Webマーケティングサービス・インターネットで高業績をあげる秘訣は、まずは、Web標準XHTML+CSSコーディングから」をぜひお読み下さい。
やや文章が長い印象を受けますが、このページだけで全体的なエッセンスを凝縮させていますので、W3C、HTMLなどの基礎知識をふくめてごく短時間で把握できるようにしています。
リニューアル前は、トップページにあるアクセスカウンタから、アクセス数の一部を確認する範囲でした。今回全ページアクセス解析可能としています。
まずはアクセス数が明確に把握できるようになったこと。ごく単純なことのようにも見えますが、これこそが大変重要な一歩です。
以前、一日のアクセス数が10~30程度であったとすると、これがだんだんと増え、100前後になっていることがグラフ表示されます。また、1年にわたってみると、やはり赤穂義士祭のある12月がアクセス数のピークであることも分かりました。
ここだけであっても、サイトの方針を、禅寺と観光と2本の柱を作り、やや禅寺という視点を丁寧に扱ってきましたが、今後、このサイトが延びるためには、もっと観光、赤穂浪士、大石内蔵助、浅野内匠頭長矩の菩提寺であることを、エンターテインメント性をともなってアピールする必要であることがわかります。あるいは、このラインでWeb広告を打つ。またそのランディングページを特設する。といったことも見て取れます。
最終判断はもちろん花岳寺様にありますが、少なくともこのような提案を提出させていただけます。
禅は今後ますます需要が伸びると思います。個々人が、個々人の精神、心の有り様を把握し、ケアする、マネジメントする時代だからです。特に企業家はプライベート坐禅堂を持っても良いでしょう。昔は、藩主専用の禅寺でしたが、現代は企業家、起業家、会社オーナーであっても良いはずです。
また花岳寺では、坐禅堂という良い施設があり、他の寺院でよくある、本堂に並んでするのとは違い本格的な坐禅ができます。(楽しめます)
アクセス元を見ると、この辺りのアクセス数がそんなに多くはありません。例えばここに、サイト改善のヒントがあります。
このような感じで、アクセス解析で得られるデータ、得られないデータをくみ取りながら、一つずつ改善点を見つけ、その対応法を考え出し、施工し、しばらくしてその結果を把握する。
このリズムにのってサイト運用してゆくことが大切です。
寺院を中心に町の暮らしがあった時代、いったい寺院はどのような役割をはたしてきたのでしょうか。
Webサイト運用では、Webについての洞察が必要です。
まず情報を発信し続ける理由は何かを明確にしておきます。
深くて、ニッチで、ここでしかなかったり、あるいは本当に何でも買える楽天のようであったり、何か明確な方針のもとで大量の情報を発信し続けること、これが一つの典型です。
何らかの特色ある情報を積み重ねることで、空間を広げ、いわば「憩う」場を作ります。
平行して、あるいは同居して、例えば花岳寺様の場合、販売物のネット販売、団体旅行者予約(現在はFAXのみ)、その他の宿泊予約、オンラインの寄付、布施など、機能を働かせて何らかの富を生ませ続けることをします。広告バナーを置くことでもかまいません。
たとえばお土産モノのネット販売ですが、これなども自社メディア化を念頭に置くことで、単に販売している、という形を避けることができます。
それは商品販売=商品説明の情報自体を、販売のためだけの説明ではなく、その説明自体に価値を持たせてやることです。
ブログが一冊の書籍になる時代です。商品説明を集めても一冊の書籍になることもひょっとすれば可能かもしれません。
通販カタログがそのまま花岳寺の歴史を語り、忠臣蔵の歴史を語るのであれば、現代的かもしれません。従来の広告の方法では、欲しい人がなかなか見つけることができなかった。しかし、Webであればどうでしょう。分かりませんがトライの価値はあります。ロングテールという考えを採用することです。日本語以外で生活をしていて、日本文化に興味を持っている人に対するアピールも必要です。
また、葬儀の多様化がすすむ中寺院の新しいあり方が社会的にも求められています。
(下)ペット供養の模様を伝えるページ
Webサイト構築から、運用までのことを、花岳寺様の事例を通してお話させていただきました。
私がお伝えしたいことは、Webサイトは一端作ってしまえば終わりではなく、あり続ける限り改善し続け、成長させてゆく場であることに注視していただきたいということです。
営業マンの分身といったとらえ方もありますが、デザインマネジメントとして企業と不即不離のWebサイト。企業の「今」をリアルタイムに表現し続けるWebサイト。
Webサイトを大切にし、活用し、企業活動に役立てていただきたいと願って止みません。
制作事例